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肌で知る素材感

肌で知る素材感_a0116902_19443883.jpg

上の写真は実家のお風呂。
私はこのお風呂が苦手。

というのはなぜか母屋とは別の屋外にあり、
木とタイルでできた不思議な浴室。
よくできたもので、通風採光は抜群なので、
木はずいぶんいたんでいるのだけれど、
浴室そのものはまだ健在(でもだいぶまずいけれど)。
素材はちゃんと環境に適応して生き延びていく。

このお風呂に行くには、雨でも雪でも一度外に出て、
10秒ほど歩かなければならない。
子どもの頃はそれがあたり前だと思ったけれど、
本当はあたり前じゃなかった。
お風呂だけで単体で存在しているなんて、
今思えば贅沢だ。

ドイツのホテルでまるでお部屋のようなお風呂に入ると
そんな実家のお風呂を思い出す。
がらんと広くて、寒々しい。
一方で素材感に満ちている。

杉の木の板の、水をかぶって節くれだった様子。
モザイクタイルのぺたりと冷たい感触。
木枠に磨りガラスの窓。結露して天井から落ちる水滴。
子どもの頃は、まさに裸身でこんな素材の感覚と真剣勝負していた。
いま、こんな体験ができる家は少ないだろう。

その反動からか、
キッチンでは人工的に過ぎる素材よりも、
本物の素材感重視!の主張をする私も、
お風呂は実は人工的なシステムバスが気に入っている。
樹脂の意外な温かみを感じる。
ちょっと不格好で野暮いのも、裸身にはほっとする。
タイルのように人を驚かせない。
(冬のタイルのお風呂の寒さといったら…)

素材にはそれぞれの持ち味があるけれど、
意外なことで気づかされるものだ。
それは経験にもよるだろうけど…。
同じ木の床材でも縁側と室内では
古び方が違った。それは拭き掃除をしていると、
手の感触からじんじん伝わってくる。
見た目だけではないのだ。

生まれた時から樹脂に囲まれたお風呂に入り、
人工素材のキッチンやインテリアに囲まれた
子どもたちは将来どんな住環境をつくるのだろうか?
タワーマンションを見ているとふと考える。

photo special thanks=Tomoko Kudoh

【本日発信のニュース】
期間限定の「タイム アンド スタイル」が伊勢丹新宿店に
by kitchen-kokoro | 2009-03-17 21:05 | 家電、設備 | Comments(0)

キッチンジャ―ナリスト、エディター&ライターとして編集や取材執筆にたずさわる、本間美紀のブログです。キッチン、暮らし、インテリア、住まい、食、デザインをつなぎます。
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